全サイトコンテンツ棚卸し:150ページの監査・整理・残す判断
一、全サイト棚卸しと単記事のリニューアルは別物
着手前に境界を引きます。単体の古い記事をどうリニューアルするか、いつ書き直すかについては、サイトにすでに単記事リニューアルの判断の専用記事があります。2ページが同じキーワードを奪い合う場合の統合方法は、キーワードカニバリゼーションあの記事で全手順を解説しています。毎月定期的に何をするかは、月次メンテナンス6項目でペースを整えています。これら3記事が扱うのは「単一ページへの継続的な施策」です。本記事が扱うのは別のこと:100ページを超えたサイトで、全コンテンツを一括で見直し、残す・統合する・削除するという集中判断を一度行うことです。
なぜこれが必要か:コンテンツサイトが150ページまで成長すると、ほぼ必ず3種類の堆積物が現れます。同じ意図で何度も書かれた重複ページ、製品ラインが変わったのにページが更新されていない陳腐化ページ、公開後に一度もトラフィックを獲得できなかった無効ページです。これら3種類は、普段は1ページずつ見ると「残しておいてもいい」理由がありますが、まとめて同じ基準で測って初めて、どれがサイト全体のクロール予算とトピック密度を薄めているかが見えてきます。
棚卸しのペースの目安:100ページ以上のサイトは12〜18か月ごとに全量棚卸しを1回。150ページ以上は12か月ごとに1回。全量棚卸し以外は四半期ごとのローリングで維持します。第7節で解説します。
二、リストのエクスポート:3か所からデータを取得し、フィールドを先に確定する
棚卸しの第一歩はページを1つずつ読むことではなく、まず全体像を把握することです。ページリストは3か所からデータを取得し、統合して重複を排除します:
| データ取得元 | 取得できるもの | 取得できないもの | 用途 |
|---|---|---|---|
| サイト管理画面の記事一覧 | 全URL、公開日と更新日、著者、ステータス | トラフィックと順位 | 基準となる全集として |
| Search Console ページレポート | 直近90日の表示回数、クリック数、平均掲載順位 | 表示のないページは網羅できない | 各ページにデータを付与 |
| サイトマップ sitemap | あなたが「存在する」と思っている全URL | 実際にインデックスされているか | 基準セットを照合し、ゴーストページを発見 |
3か所を統合すると、基準となる全ページ数は印象より5%〜15%多くなるのが普通です。増えた分は忘れられた下書き、テストページ、旧版の残骸で、ここは別途洗い出します。
リストのフィールドは最低7列必要です。URL、公開日、更新日、直近90日の表示回数、直近90日のクリック数、順位が付いているキーワード数、被内部リンク数。後ろ2列が以降の判定ラインの厳しさを決めます。順位キーワードが0でも被リンクが12本あるページと、被リンクも0のページでは対応がまったく変わります。データソースが欠ける場合は優先度順に前3列を確保してください。アクセスデータなしの棚卸しは目をつぶっての投票と同じです。
三、タグ付け:5つのスイッチが各ページの運命を決める
1ページずつ見ていき、各ページに5つのスイッチを付けます。各スイッチはオンかオフの2状態のみで、点数も「良い・普通」の評価も付けません。
| スイッチ | オンにする条件 | どこで確認するか | 誤判定リスク |
|---|---|---|---|
| アクセスあり | 直近90日の自然クリックが10以上、または表示回数が500以上 | Search Console | ブランド名のクリックはコンテンツ価値に含めない |
| 順位あり | 1つ以上のキーワードが30位以内 | Search Consoleの検索パフォーマンスレポート | ロングテールが別ページで上位の場合は誤って付く |
| 被内部リンクあり | サイト内の他ページから3本以上リンクされている | クロールツールまたは手作業で確認 | ナビゲーションリンクは含めず、本文内リンクのみ |
| コンバージョンあり | 直近180日で問い合わせ、フォーム送信、ダウンロードにつながった | フォームの参照元フィールド | アトリビューションが不正確なときは「あり」に寄せる |
| 情報価値のみ残る | アクセスも順位もないが、内容は顧客が必ず読むべき基礎知識 | 人手による判断 | 主観項目のため、2人目による確認が必要 |
5つのスイッチの組み合わせが、以降のどの判断ラインに進むかを直接決めます。タグ付け段階で最も避けたいのは、付けながら修正することです。あるページを見て「ついでに最適化」するのが棚卸し最大の落とし穴で、修正はその日エクスポート中のデータを汚染します。全ページはまずタグ付けだけを行い、手は付けず、判断は第四節以降でまとめて実行します。
150ページを1ページ3〜5分でタグ付けすると、2人で進めて約2営業日で終わります。「情報価値のみ残る」という主観スイッチは、顧客を最もよく知る人に決めてもらうのがおすすめです。
四、4つの判断と判定ライン
5つのスイッチを付けたら、各ページは4つの対応のいずれかに落ち着きます。判定ラインは以下のとおりです。
| 対処 | 判定条件(いずれかを満たす) | 典型的な割合 | 実行アクション |
|---|---|---|---|
| そのまま維持 | 直近90日に表示回数がある、または直近180日にコンバージョンがある | 40%〜55% | 何もしない。四半期ごとのローリング対象に入れる |
| 更新 | 順位はあるが情報が古い:引用データが24か月より前、標準バージョンが旧い、スクリーンショットが古い | 10%〜15% | 更新キューに入れ、リニューアル手順に沿って進める |
| 統合 | 2ページ以上が同じ検索意図を奪い合い、それぞれの順位キーワードが2以下で20位より下 | 8%〜12% | メインページを決め、残りは301で統合 |
| 非公開化 | 表示回数ゼロ、被内部リンクゼロ、コンバージョンゼロで、内容が重複しているか製品が販売終了 | 8%〜12% | 301または410。リダイレクト表に入れる |
4つの判定ラインで最も議論を呼ぶのは「順位はあるのに流入がない」ページです。15〜30位、月間表示が数十回のページは、URLを占有しながら成果を生みません。私の提案は、こうしたページは原則として更新に回し、削除はしないというものです。あと一歩の内容品質で伸びる可能性があり、削除すると既に支払った評価コストを失います。本当に削除すべきなのは、3つのゼロ(表示ゼロ、内部リンクゼロ、コンバージョンゼロ)でテーマが重複するページです。150ページのサイトなら、通常10〜20ページを整理できます。
5. 削除の締めくくり方:301、410、そして削除禁止リスト
削除は消して終わりではありません。締めくくり方によって、そのページが蓄積したシグナルが残るかゼロになるかが決まります。
| 締めくくり方 | 適用条件 | シグナル保持度 | リスク |
|---|---|---|---|
| 同種テーマのページへ301 | サイト内に意図の近い代替ページがある | 高い。評価はリダイレクトで引き継がれる | かけ離れたページを指定するとソフト404と判定される |
| 410で完全削除 | 代替ページがなく、内容に残す価値がない | ゼロになるが、エンジンに削除済みを明示できる | インデックスが空になるまで2〜6週間 |
| noindexに変更して保持 | 内容は既存訪問者に有用だが、クロール予算を割きたくない | 一部保持 | 長期noindexのページは徐々に評価が下がる |
| 直接404 | 一時的な非公開で1週間以内に復帰する場合のみ | なし | 2週間を超えると410扱い |
3つの表のうち「削除リダイレクト表」には4列を記録します。元URL、処理方法、ターゲットURL、実行日です。この表は最低3年保管してください。外部リンクが旧ページを指していたり、顧客のブックマーク、AIエンジンのキャッシュ内の古い参照が、その後数か月にわたってこれらのURLにアクセスします。表があれば異常な流入をすぐに調査できます。
削除禁止リスト着手前にリストアップします。問い合わせを生んでいるランディングページ、外部メディアや顧客メールで引用されたページ、ブランド語のコンバージョンを担う会社概要ページとサービスページ、外部被リンクがあり代替のリンク先がないページです。この4類型は3つのゼロでも削除せず、せいぜいnoindexに収めるか、一度縮小して書き直します。削除判断では、誤って消す代償が誤って残す代償をはるかに上回ります。誤って残す損失はクロール予算ですが、誤って消す損失は実際の被リンク1本と問い合わせの履歴です。
6. 内部リンクの手術と一括実行のペース
統合と削除が終わると、サイトには削除済みページを指す死んだ内部リンクと、価値はあるのに誰もリンクしていない「孤立ページ」が残ります。そこで棚卸しの4つ目の作業が内部リンクの手術です。2つのステップに分けます。
| ステップ | アクション | 数量基準 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 被リンクの向き先を変更 | 削除済みページを指す内部リンクをすべて301ターゲットまたは関連する保持ページへ変更する | すべての被リンクを漏れなく変更 | 1ページ10〜15分 |
| 孤立ページにリンクを追加 | 順位があり被リンクが1本以下の保持ページに、権威の高い関連記事2〜3本から本文内リンクを追加する | 1ページにつき2〜3本追加 | 1ページ15分 |
一括実行は棚卸しで最も失敗しやすい工程です。すべての変更を同じ2週間に集中させると、検索エンジンはサイト全体の大規模改修と認識し、順位が2〜4週間変動するのはよくある代償です。安全な進め方は次のとおりです。
| 進行項目 | 基準 | 説明 |
|---|---|---|
| 週あたりの処理量 | 30ページ以下 | 150ページを5〜6週間で処理 |
| 各バッチ後の確認タイミング | 7日目、30日目 | 7日目はインデックス登録とインデックスエラー、30日目はクリックと順位を確認 |
| 1バッチの構成 | 統合と削除は別バッチに | 同じ日に削除と統合をしない |
| 一時停止ライン | 1バッチ後に自然クリックの週次比較で20%超の下落 | 次のバッチを止め、リダイレクト設定を確認 |
各バッチ実行後の7日目にSearch Consoleのインデックス カバレッジ レポートを確認し、新たに増えた「ソフト404」と「リダイレクト エラー」の2種類に注目します。この2種類のエラーが5件を超える場合は、リダイレクトテーブルの設定ミスが原因のことが多いです。一括改修後のインデックス登録の問題をどう調べるかは、サイトのインデックス問題の調査の記事で手順を詳しく解説しています。
七、棚卸しのあと:四半期ごとのローリングと棚卸しをしない3つのケース
全量棚卸しは毎年やり直すものではありません。持続可能な仕組みは四半期ごとのローリングです。四半期ごとにサイトから30ページを抽出し、更新日が18か月より前のページと公開から90日が経過したページを優先して、同じ5つのスイッチのフローで確認します。150ページのサイトなら、年4回のローリングで1年半分をちょうどカバーでき、12〜18か月に1回の全量棚卸しを日常的なメンテナンスに薄めて行うことになります。
| 仕組み項目 | サイクル | 責任者 | 成果物 |
|---|---|---|---|
| 四半期ごとのローリング棚卸し | 四半期ごとに30ページ | コンテンツ責任者 | ローリング判断表の更新 |
| 新規ページの登録時にタグ付け | 公開から90日経過 | 公開者 | 5つのスイッチのタグ |
| リダイレクトテーブルの年次検証 | 年に1回 | サイト管理者 | 無効なリダイレクトの削除 |
| 全量棚卸し | 12〜18か月 | 全員で協力 | 3つの表を全量更新 |
次の3つのケースでは全サイトの棚卸しを始めないでください。判断基準と代替の対応は以下のとおりです。
| 棚卸しをしないケース | 判定根拠 | 代替施策 |
|---|---|---|
| サイトが30ページ未満 | 全ページを暗記できるほどで、手順のコストが効果を上回る | そのままページごとに修正し、3つの表の手順は省略 |
| 移行または改修から3か月未満 | データが移行の影響を受け、判断ラインがすべて不正確になる | データが1四半期落ち着いてから着手。移行時の順位維持はサイト移行と301マッピング |
| トラフィックが増加中で異常なし | 上昇傾向の時期に構造を大きく変えると、効果は不確実でリスクは確実 | 安定期に入ってから着手し、それまでは四半期ローリングのみ行う |
上昇傾向の時期に構造を大きく変えると効果は不確実でリスクは確実なので、安定期に入ってから着手します。
FAQ よくある質問
最後に
サイト全体の棚卸しで一番大事なのは、何ページ消したかではなく、「どのコンテンツが自分の代わりに働いてくれているか」という問いを、感覚から数字に変えることです。5つのスイッチの状態、4本の判定ラインでアクションを決め、3つの表で記録を残し、バッチ処理のペースでリスクを抑える。この流れを一度回せば、以降の四半期ごとのローリングは楽にこなせます。
まずは今月、第2節の3か所のデータ取得から始めて、基準となる全集を洗い出しましょう。150ページのリストを1枚の表に並べるだけで、重複ページやゴーストページが自然と浮かび上がってくることがよくあります。
覚えておきたい一言:棚卸しは在庫の整理ではなく、サイト全体のコンテンツを資産として棚卸しすること。残すページはすべて、自分に代わって何の仕事をしているかを説明できる必要があります。
