サイトリニューアルとドメイン変更:301引き継ぎマップの描き方
1. リニューアルで最も高くつく失敗はURLの引き継ぎ漏れ
リニューアルの失敗の多くは、新サイトがダサいからではなく、旧サイトが置き換わる瞬間に一批のURLが音もなく切れるからです。切れたページはエラーを出しません。ただそれきり流入がなくなり、二度と戻りません。
まず、今回の変更がどの種類なのかをはっきりさせましょう。3つのタイプでリスクの大きさはまったく違います。
| リニューアルの種類 | 変わる内容 | 流入への影響幅 | 回復期間 | 可逆性 |
|---|---|---|---|---|
| デザインのみ変更、URLはそのまま | テンプレート、スタイル、カラム位置 | 5%から15%の減少 | 2から4週間 | ロールバック可 |
| URL構造を変更 | ディレクトリ、slug、ページネーションルールの変更 | 15%から40%の減少 | 6から12週間 | 301での受け皿が必要 |
| ドメイン変更 | メインドメインの変更 | 20%から45%の減少 | 8から16週間 | 301に頼るしかない |
| ドメイン変更と構造変更を同時に | 上記2つを同時に実施 | 30%から60%の減少 | 12から24週間 | ロールバックは極めて困難 |
この表の幅は一般的なプロジェクトの観察に基づくもので、約束された数値ではありません。伝えたい判断は1つです。ドメイン変更と構造変更は同時にやらない。業務上どうしても同時にやるなら、12週間以上の変動期を受け入れ、上司が理解できる見込み説明を用意しましょう。
引き継ぎ漏れのうち、最も頻度が高く代償も異なる4つを挙げます。
| 漏れの内容 | 結果 | 回復期間 | 補救の可否 |
|---|---|---|---|
| 詳細ページに301を設定していない | ページが完全に消え、蓄積した評価がゼロに | 元の順位は回復不能 | 書き直して再申請するしかない |
| 301の転送先がトップページ | ソフト404と見なされ、リンク評価が破棄される | 4から8週間 | 転送先を変えれば徐々に回復 |
| リダイレクトが3回を超える | クロール予算が無駄になり、評価が1回ごとに減衰 | 2から6週間 | すぐ修正可能 |
| フィルタパラメータページを未処理 | 類似URLが大量に発生しクロール枠を消費 | 4から12週間 | 修正可能 |
2行目が最も警戒に値します。「どうせ自分のページだから、404よりトップページへの301のほうがマシ」という考えは実務では誤りです。検索エンジンはトップページへの大量リダイレクトをソフト404と見なし、リンク評価は移らず、新しいトップページのアンカーテキストのシグナルまで混乱させます。
2. ステップ1:URLの貸借対照表を作る
手を入れる前に、旧サイトの全URLをエクスポートしておきましょう。ここでいう「全」とは3つの和集合です。サーバーのアクセスログ、サイトマップ、そして検索エンジンにインデックス済みのURLリスト。サイトマップだけをエクスポートしても不十分で、サイトにはsitemapに載っていないのに外部リンクが張られているページが必ずあります。
エクスポート時は最低でも次の8つのフィールドを残してください。1つでも欠けると後でやり直しになります。
| フィールド | 情報源 | 用途 |
|---|---|---|
| 完全なURL | ログとサイトマップ | マッピング表の主キー |
| 月間オーガニック訪問数 | アクセス解析ツール | 優先度の判定 |
| 被リンクドメイン数 | 被リンク調査ツール | 優先度の判定 |
| 目標の問い合わせ数またはコンバージョン数 | フォームと統計 | 優先度の判定 |
| ページタイトル | 新サイトの対応コンテンツの参考 | 新ページとのマッチング |
| HTTPステータスコード | 一括チェック | 無効なURLの除外 |
| 言語と地域のタグ | hreflangまたはディレクトリ構造 | 多言語サイトは必須 |
| 処理方法 | 手動判定 | 維持、マッピング、統合、廃止 |
最後の列がこの表の核心です。各URLに4択のマークを付け、判定基準は厳密に決めておき、感覚で判断してはいけません。
| 処理方法 | 判定基準 | 技術的な対応 |
|---|---|---|
| 維持 | 新サイトに同じ名前・同じパスのページがあり、内容がほぼ一致している | URLを変更せず、リダイレクトもしない |
| マッピング | 新サイトに対応する内容があるがパスが変わった | 1対1で301リダイレクト |
| 統合 | 複数の旧ページの内容が重複しており、新サイトでは1つだけ残す | 多対1で301リダイレクトし、内容が最も充実したページを残す |
| 廃止 | 内容が本当に提供終了となり、被リンクもアクセスもない | 410を返し、301はしない |
優先度の判定順序は1つだけです。逆にしないでください。まず被リンク、次にアクセス、最後にコンバージョン。オーガニック検索からのアクセスがゼロでも被リンクが3本あるページは、毎日20回のアクセスがあるのに被リンクが全くないページより価値が高い可能性があります。被リンクは移行可能な資産ですが、アクセスはアルゴリズムや季節によって変動するからです。3つの役割がはっきりしないページ(被リンクもアクセスもコンバージョンもない)はすべて廃止とマークします。こうしたページは通常、旧サイトの全URLの30%から50%を占めており、それらを整理すること自体がリニューアルの成果になります。
この方法が使えないケース:旧サイトの公開から12ヶ月未満、または累計オーガニックアクセスが毎月500回を下回り続けている場合、「貸借対照表」の判定根拠はほぼすべてゼロ値となり、マッピングの優先度を論じる余地がありません。このような場合は完全な分析は不要で、次の3点だけを守れば十分です。過去に広告・出稿・印刷物に掲載されたURLはすべて301リダイレクトする。サイトマップ内のURLは301または410にする。残りは新サイトの構造に自然に収束させればよい。
三、3つのマッピングルール:1対1、多対1、1対多
マッピングルールは3つだけです。それぞれに明確な書き方と落とし穴があります。
| マッピングの種類 | トリガー条件 | 書き方 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 1対1で同じパス | パスは変わったが内容が一意に対応 | 旧URLから新URLへ301リダイレクト | 新旧のslugの綴りが不一致で設定漏れが発生 |
| 多対1で統合 | 3つ以上の旧ページの内容が重複 | すべて残すページへ301リダイレクト | 残すページの選択を誤り、最も価値のある記事を失う |
| 1対多で分割 | 3,000字の長文1本を3ページに分割 | 旧 URL は最も関連性の高い新ページへ 301 | 残り 2 ページは入口を失うため、内部リンクで補う |
多対一の統合は最もミスしやすい類型です。統合とは流量を適当な 1 ページに流し込むことではなく、判断には優先順位があります。
| 判断基準 | 配点 | 説明 |
|---|---|---|
| 外部リンク数が最も多い | 高 | 外部リンクがどの記事を指しているかで、残す記事を決める |
| 内容が最も充実している | 中 | パラメータ、事例、FAQ が最も揃っている記事 |
| 既に順位が最も良い | 中 | 安定した順位があるページを残す |
| URL が最も短い | 低 | 最初の 3 つが同点のときに使う |
一対多の分割では、逆方向の入口問題に注意が必要です。分割した 3 ページのうち、301 の転送先になったページだけが旧リンクを引き継ぎ、残り 2 ページはゼロからのスタートになります。対策は、残すページの上部に導入文を置き、内部リンクで残り 2 ページへ誘導し、2 か月以内にこの 2 ページのインデックス状況を確認することです。
四、4 つの高リスク領域を項目ごとに照合チェック
リニューアルで繰り返し事故が起きる領域が 4 つあります。共通する特徴は、問題が起きていないうちは誰も気にせず、起きてからでは調査コストが極めて高くなることです。
| 高リスク領域 | 典型的な事故 | チェック方法 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 多言語 URL と hreflang | 各言語版の相互参照が崩れる、またはすべてデフォルト言語を指す | 各言語版ページのソースをクロールする | 各言語の hreflang がすべて新ドメインの対応ページを指している |
| ページネーションと絞り込みパラメータ | パラメータ付きページが大量にインデックスされる、またはページネーションの連鎖が切れる | パラメータ付き URL を 20 件抽出して実測する | パラメータ付きページは正規ページか 410 を返し、ページネーションの連鎖が最後までたどれる |
| 添付ファイルと PDF | 見積書、図面、カタログが 404 | すべての添付ファイル URL を書き出して一括チェックする | 有効な添付ファイルはすべて新 URL へ 301 |
| フォームと短縮 URL | 広告用短縮 URL、展示会の QR コードが無効になる | サイト外で使っている URL を 1 件ずつテストする | すべて到達でき、フォームも送信できる |
多言語サイトは別途一覧表を作って確認してください。ここが最もエラー率が高いためです。
| チェック項目 | 誤ったやり方 | 正しい方法 |
|---|---|---|
| hreflang の参照先 | すべて旧デフォルト言語ドメインを指している | 各言語が新ドメインの対応言語ページを指している |
| 言語ディレクトリ | 新サイトでクエリパラメータ式の切り替えに変更する | 独立したディレクトリまたはサブドメインを維持し、1 言語 1 URL にする |
| サイトマップ | デフォルト言語の sitemap しか送信しない | 言語ごとに送信し、sitemap 内に言語の代替 URL を記載する |
| インデックス済みページ | デフォルト言語のみ 301 を設定する | 各言語の旧 URL すべてに個別に 301 を設定する |
添付ファイル領域も見落とされがちです。カタログ、見積書、図面といったファイルは外部リンクのリンク先になりやすく、海外バイヤーが最も転送するものでもあります。ステータスコードを一括チェックするコストは 1 時間未満ですが、見落とすと外部リンクを永久に失います。
五、実行順序と不可逆操作前のバックアップポイント
順序を間違えると作業量が倍になります。以下の 7 ステップは固定の順序です。急いでいるからといって変更しないでください。
| ステップ | アクション | 成果物 | 可逆かどうか |
|---|---|---|---|
| ステップ1 | 旧サイトの全データとファイルをバックアップ | データベースとファイルの圧縮パッケージを、ローカルにも別途保存 | 可逆。これが最後の砦 |
| ステップ2 | URL の棚卸しと注記を出力 | 処理方法を記載した一覧表 | 可逆 |
| ステップ3 | 新サイトに全構造を構築し、コンテンツを投入 | 新サイトを一時ドメインで閲覧可能 | 可逆 |
| ステップ4 | 一時アドレスで 301 を1件ずつ自己テスト | マッピング表の自己テスト記録 | 可逆 |
| ステップ5 | DNS を切り替え、旧サイトを読み取り専用に | DNS レコードのスクリーンショット | 不可逆。ステップ4の完了確認が必須 |
| ステップ6 | 新サイトのサイトマップを送信し、旧サイトのサイトマップを60日間保持 | 両方のサイトマップに到達可能 | 可逆 |
| ステップ7 | 301 ルールを有効化し、ログを監視 | 日次のリダイレクト命中数とエラー統計 | 可逆 |
ステップ5だけが不可逆の作業です。DNS を切り替える前に、必ず3点を確認してください。バックアップが完了し復元可能であること、マッピング表が新サイトの一時アドレスで1件ずつ自己テストを通過していること、旧サイトの読み取り専用コピーへいつでも切り戻せること。この3点のどれかが未完了なら、切り替えないでください。
リダイレクトの書き方にはよくある6つの誤りがあります。多くは設定レベルの問題ですが、影響は小さくありません。
| 誤った書き方 | 結果 | 正しい方法 |
|---|---|---|
| チェーンリダイレクト A から B から C | 評価がホップごとに減衰し、クロールが遅くなる | すべて最終アドレスへ直接リダイレクト |
| すべてトップページへ 301 | ソフト404と判定され、評価が移らない | 対応するページへ1対1でマッピング |
| 404 になったアドレスへ 301 | リダイレクトチェーンが途切れ、リンク切れと同義 | 遷移先アドレスが 200 であることを事前に検証 |
| 302 と 301 の混用 | 302 は評価を引き継がない | 恒久的な移転は 301 に統一 |
| スラッシュあり・なしの片方にしか適用されない | 残り半分のアドレスがリンク切れ | 両方の形式にルールを設定 |
| サーバーリダイレクトの代わりにページ内リンクで対応 | クローラーが本当のリダイレクトを読めない | サーバーまたはアプリケーション層で設定 |
6. 切り替え後30日に見るもの、そしてリダイレクトすべきでないケース
切り替え後は毎日順位を追わず、4つの指標だけを見れば十分です。うち1つは損切りラインです。
| 観察指標 | 正常範囲 | 損切りライン | 損切りラインに達したときの調査順序 |
|---|---|---|---|
| 新サイトのインデックス登録ページ数 | 30日以内に旧サイトの70%以上 | 40%未満 | サイトマップ、robots、リダイレクトチェーン |
| クロール頻度 | 最初の2週間で20%から50%上昇した後に反落 | 2週間後も旧サイトの水準を下回る | サーバーログ、応答時間、ステータスコード |
| 主要キーワードの順位 | 3位から10位の変動は正常 | 50位圏外に落ち、4週間戻らない | ページ内容の一貫性、内部リンク |
| 週次の問い合わせ数 | 10%から30%の変動は正常 | 3週連続で旧サイトの半分未満 | フォームの動作、リダイレクト命中ログ |
3行目に注意してください。順位が3位から10位の間で上下するのはリニューアル後の常態で、2か月は介入不要です。本当に対応が必要なのは、あるまとまりのページが同時に消える場合で、これは通常アルゴリズムの調整ではなくマッピングの漏れを意味します。
最後は逆のケースです。301 にすべきでない3種類のページは、410 を直接返すべきです。
| ケース | 301 を使わない理由 | 正しいステータスコード |
|---|---|---|
| コンテンツが恒久的に終了し、代替がない | トップページへの 301 はソフト404と判定される | 410 |
| 終了済みで外部リンクも流入もない | リダイレクトを残しても収益はなく、保守だけが増える | 410 |
| 大量の低品質パラメータページ | リダイレクトすると重複URLがインデックスされ続ける | 410 を返し、canonical タグを付ける |
410 と 301 の違いは技術的な話ではなく、意味の違いです。301 は「コンテンツが別の場所に移動した」、410 は「コンテンツはもう存在しない」という意味です。大量の無効ページを 301 でトップページに飛ばすのは、「これらのコンテンツはすべてトップページに移動しました」と検索エンジンに伝えているのと同じで、判断として筋が通りません。その代償としてトップページのリンク評価が薄まります。関連する納品フローとチェックリストは/site/の納品説明を参照するか、/contact/の方法でお手元の URL リストを送っていただければ、マッピングの照合を一度行います。
FAQ よくある質問
最後に
リニューアルでは、デザインに費やす時間は引き継ぎに費やす時間の3倍になることが多いですが、成否を決めるのは後者です。デザインは来年また直せますが、URLが一度切れると、そのページに蓄積された評価は永久に失われ、取り戻す方法はほかにありません。
引き継ぎを1枚の表、1枚のチェックリスト、切り替え前の1回の項目別セルフテストにすれば、運任せにする必要はなくなります。本当に判断力が要るのは1点だけです。各URLを保持するのか、マッピングするのか、統合するのか、廃止するのか。この判断が終われば、あとは実行だけです。
一言で覚えるなら、リニューアルは見た目が悪くなることを恐れるのではなく、終わったあとに旧サイトの各アドレスがどこへ行ったのか誰も説明できなくなることを恐れるべきです。
