多言語サイトの図表対応:インラインSVG、画像のローカライズ、翻訳の境界線
1. ページは翻訳したのに図が翻訳されていない、これが多言語サイトで最もよくある中途半端な状態
多言語サイトを公開した後、顧客が最も気づきやすい問題は文法ではなく図です。英語ページに中国語が書かれたフロー図がいくつか埋め込まれていると、顧客は一目でこれが「翻訳版」だと気づきます。
4つの中途半端な状態は、発生頻度もコストも異なります。
| ページ箇所 | 文字だけ翻訳した場合の結果 | 購入者の率直な印象 | 発生頻度 |
|---|---|---|---|
| 本文中の図に中国語ラベルがある | ラベルが読めず、文脈から推測するしかない | 内容が不完全 | 最高 |
| フロー図とトポロジ図 | 図全体が謎解きになる | サイトが場当たり的に作られたのではと疑う | 高 |
| 製品パラメータの説明図 | 単位と目盛りが読めない | 図を見て選型するのが怖い | 中 |
さらに見えにくい問題は、画像内の文字を検索エンジンもAIも読み取れないことです。1枚の図が図でしか説明できない3層構造を担っている場合、その3層の情報はどの機械から見ても存在しません。図表のローカライズは、人が理解できることと機械が取得できることを同時に解決します。
この判断が当てはまらないケース:サイトが中国語と英語の2言語のみで、英語の訪問者が主に既存顧客と販売チャネル経由の場合、図の優先度は製品ページや認証ページの後で構いません。逆に、英語サイトで新規顧客の検索流入を取り込むなら、図の中の中国語ラベルは致命的な欠点になります。
2. 図の中の文字がなぜ難しいのか:4つの方法のコスト比較
ビットマップ内の文字は書き換えられない、これがすべての面倒の始まりです。文字はすでにピクセルに圧縮されており、変更するにはデザインのソースファイルに戻って作り直すしかありません。
ビットマップ方式には3つの具体的な問題があります。
| 問題 | 原因 | デメリット |
|---|---|---|
| 文字を書き換えられない | 文字がすでにピクセル化している | 1箇所変更するたびにデザインのソースファイルに戻る必要がある |
| サイズが倍増 | 1言語につき1ファイル | 画像ライブラリのファイル数が図の数×言語数になる |
| バージョンが同期しなくなる | 中国語版と英語版をそれぞれ管理 | 中国語版でパラメータを変更しても、英語版は古い数値のまま |
4つの処理方法の比較は以下の通りです。この表でほぼ8割の判断ができます。
| プラン | やり方 | 初期コスト | 長期的な保守 | 適する状況 |
|---|---|---|---|---|
| ビットマップ翻訳版 | 言語ごとに画像を1つ書き出す | 中、作り直すのと同じ手間 | 高、変更のたびに作り直す | 情報が複雑で専門用語が多い図 |
| インラインSVG 2言語 | 1枚の画像に2言語のテキストを載せ、言語で表示を切り替え | 高、開発の対応が必要 | 低、1か所直せば全言語に反映 | 構造図、フロー図、表形式の図版 |
| 画像内テキストを外に出す | 画像は構造だけを描き、テキストはページ側で持つ | 中、レイアウトの組み直しが必要 | 低 | 簡単な模式図、矢印図 |
| 対応しない | 元の画像のまま | ゼロ | ゼロ | 装飾画像、実物写真のみ |
方針を選ぶ判断基準は1つだけ。その画像が今後変わるかどうかです。2年以内に変わらない複雑なインフォグラフィックなら、2言語分のビットマップを用意するのが最も手間がかかりません。パラメータやフロー、名称を変える可能性があるなら、SVGの埋め込みかテキストの外部化を選びます。実物写真は4つ目の分類で、そもそも処理すべきテキストがないため、この種の画像に予算をかける必要はありません。
三、SVG埋め込みで2言語を共存:1枚の画像に2言語のテキスト
SVG埋め込みの利点は、テキストがピクセルではなくテキストのまま残ることです。同じ画像内に中国語と英語のテキストを入れ、ページの言語に応じて表示を切り替えれば、2つのファイルを管理する必要はありません。
| 実装のポイント | やり方 | こう決めた理由 |
|---|---|---|
| 2言語のテキストが同じソース | 中国語と英語のテキストが同じ画像内に対で存在 | 1か所直すだけで済み、もう一方の言語の直し忘れが起きない |
| 言語で表示を切り替え | ページのルート要素に現在の言語識別子を付け、2言語のテキストにそれぞれ対応する識別子を付けて、スタイルで表示と非表示を制御 | 言語ごとに新しいファイルを生成する必要がない |
| ブロック全体を翻訳禁止に | 画像全体に翻訳禁止のマークを付ける | 翻訳プラグインが2言語のテキストをさらに翻訳するのを防ぐ |
| 長さは生成時に検証 | 生成時に2言語の実際の長さでオーバーフローを確認 | 公開後にオーバーフローに気づくと、やり直しのコストがはるかに大きい |
| 1ファイルで完結 | 1枚の画像に1ファイル、言語で分割しない | 画像ファイル数が言語数に依存しない |
「ブロック全体を翻訳禁止」は最も見落とされやすい項目です。マークを付けないと、翻訳プラグインが画像内の中国語ラベルを本文とみなして英語に翻訳し、英語ページに翻訳済みの英語と元からある英語が同時に表示され、2つが重なって画像が台無しになります。こうした問題は、プラグインによる自動翻訳に頼るサイトで非常によく見られます。
関連してもう1つ命名の要件があります。画像のファイル名と代替テキストに言語の接尾辞を付けないことです。接尾辞を付けると、言語が増えるたびにファイルが増え、画像ライブラリの規模が言語数とともに膨らみ、整理の際にどれがまだ使えるか判断しにくくなります。代替テキストには画像の内容を書き、言語情報は書きません。
四、英語は中国語より1.3~1.5倍長い、レイアウトはこの数値で余裕を確保
本記事で最も覚えておきたい数値です。中国語ページでちょうど1行に収まるラベルは、英語にすると通常1.3~1.5倍になり、短いラベルほど顕著です。
| テキストの種類 | 中国語の長さ | 英語の長さの一般的な倍率 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 短いラベル、4文字以内 | 例えば4文字 | 1.6~2.0倍 | 短いほど不正確で、膨張が最も激しい |
| 中程度のフレーズ、8~15文字 | 1行内の説明文 | 1.3~1.5倍 | 最も典型的な範囲 |
| 完全な文、20文字以上 | 一文で完結した表現 | 1.2~1.4倍 | 文脈があると、比率はむしろ下がる |
| 略語や型番を含むテキスト | 例:パラメータの略語 | ほぼ1.0倍 | 型番と単位は翻訳せず、ほぼ変わらない |
ドイツ語やロシア語のような言語はさらに長くなり、通常は英語より10~20%長くなります。ドイツ語版を公開する予定なら、余裕はドイツ語基準で確保し、英語だけで計算してはいけません。
倍率が分かっても、レイアウト上の余白ルールに落とし込まなければ、この数字は使えません。
| 要素の種類 | 最小フォントサイズ | 使用可能幅の算出方法 | 最小余白 |
|---|---|---|---|
| カードのタイトル | 15pt以上 | カード幅から左右のパディング各12pxを引く | 空き幅を40%確保 |
| カード本文の行 | 12pt以上 | 隣の列の左端までの距離 | 空き幅を45%確保 |
| 軸と目盛りラベル | 10pt以上 | 次の目盛りまでの距離 | 50%確保、必要なら2行にする |
| 凡例と脚注 | 10pt以上 | 版面の右端までの距離 | 35%確保、長すぎる略語は |
余白は改行のために使い、フォントサイズを縮めるためには使いません。同じ行に収まらなければ2行目に送り、垂直方向は元のベースラインを中心に上下へ広げます。垂直にも収まらない場合に限り、フォントサイズを下げられますが、上の表の下限を下回ってはいけません。この順序は逆にしないでください。先にフォントサイズを縮めると、英語版が中国語版より一回り小さくなり、両言語の視覚的な重さが揃わなくなります。
はみ出しには3つの現れ方があり、対処法はそれぞれ異なります。
| はみ出しの形 | 見た目の症状 | 対処 |
|---|---|---|
| 横方向へのはみ出し | テキストが隣のカードに重なる | 隣までの距離で改行し、フォントサイズは縮めない |
| 上下の重なり | 複数行のテキストが次の行を覆う | 行の高さはフォントサイズ×1.3~1.4で確保 |
| カードからのはみ出し | テキストがカードの境界を超える | まずパディングを追加し、その後カードの高さを検討 |
5. 表のローカライズ:列幅、数値、単位、日付
表は図より厄介です。生きた要素だからです。列幅は内容に応じて変わり、内容は言語に応じて変わります。問題が起きやすいのは次の5点です。
| チェック項目 | よくある質問 | 処理ルール |
|---|---|---|
| 列幅 | 中国語の長さで決めた狭い列では、英語の見出しが2行に押し込まれる | 英語の長さに合わせて列幅を再配分する |
| 数値の書式 | 桁区切りにカンマを使う場合とスペースを使う場合が混在 | 対象言語の慣習に合わせて統一し、サイト全体で1つのルールにする |
| 単位 | 中国語の見出しには単位があるが、英語の見出しでは単位が抜ける | 単位は見出しに入れ、データセルには入れない |
| 日付 | 年月日の順序は言語圏によって理解が異なる | 4桁の年と英語の月名略称を使い、数字だけの表記を避ける |
| 長すぎる訳文の改行 | セルのテキストが行全体の高さを押し上げる | 改行は許容するが最大2行まで、超える場合は短い見出しに変える |
数値と単位の書き方は最も罠が多く、いくつかの典型的な違いについて事前にルールを決めておく必要があります。
| コンテンツ | 中国語で一般的な書き方 | 英語圏で一般的な書き方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 桁区切り | 10,000 または 10000 | 10,000 | 小数点と桁区切り記号を混同しない |
| 小数 | 0.5 | 0.5 または .5 | 小数点にカンマを使わない |
| 寸法 | 200 ミリメートル | 200 mm | 単位記号の前にスペースを入れる |
| 温度 | 摂氏20度 | 20 °C | 度記号とアルファベットの間にスペースを入れる |
| 範囲 | 10 から 20 | 10 to 20 または 10–20 | 連接記号はハイフンか短いダッシュに統一 |
| 通貨 | 3万元 | 30,000 元 | 通貨と金額の間で改行しない |
表組みはスマホ表示を個別に検証する。横スクロールにするか、カードに置き換える。避けたいのは、表全体を画面に収まるよう縮小する方法で、文字が読めないほど小さくなる。判断基準は、スマホで拡大せずに表の見出しが読めるかどうか。
六、図の中で翻訳すべきもの、翻訳してはいけないもの
図の中身は一律に扱えない。種類ごとに対応が異なる。
| コンテンツの種類 | 翻訳の可否 | 理由 |
|---|---|---|
| データラベル、軸の説明、凡例 | 翻訳 | 読者がグラフを理解する鍵であり、翻訳しないとグラフが機能しない |
| フローのノード、モジュール名 | 翻訳 | 本文の情報であり、ページのテキストと一対一で対応する |
| ブランド名と会社名 | 翻訳しない | ブランド名には唯一の表記があり、翻訳すると不整合が生じる |
| 製品型番とシリアル | 翻訳しない | 型番は言語をまたいだ検索の手がかりであり、翻訳すると検索できなくなる |
| 単位記号と数式 | 翻訳しないが、言語の規範に従って組む | 記号自体は共通だが、字間や表記に地域の慣習がある |
| 認証と規格の番号 | 翻訳しない | 番号は外部の固定識別子である |
一つの判断基準がある。そのテキストを翻訳したとき、顧客が他の言語で該当するものを検索できなくなるなら、翻訳しない。型番、番号、ブランドはこの極端なケースにあたる。
もう一つ一貫性の要件がある。図中の用語は用語集と一致させること。同じパラメータが中国語ページでは「行程」、英語ページではある箇所が travel、別の箇所が stroke だと、読者は二つのパラメータだと思う。多言語サイトはまず用語集を作り、その後に画像のローカライズを考える。順序を逆にすると何度も手戻りする。パラメータの扱いも同じ考え方で、対照できる。/insight/13-product-catalog-filter-search-experience/一緒に見ていきましょう。
七、品質チェックリスト:各画像×各言語の4項目チェック
品質チェックは中国語版だけでは不十分。各画像×各言語で4項目をチェックし、不合格なら公開しない。
| チェック項目 | 判定基準 | 不合格時の対応 |
|---|---|---|
| はみ出し | 文字がカードから出ない、隣接要素を圧迫しない | 改行する。縦に足りなければ文字サイズを下げる |
| 重なり | 複数行の文字同士、文字と図形が重ならない | 行間を調整するか、コンテナを高くする |
| 文字サイズ | その要素の下限サイズを下回らない | テキストの長さを変える。文字サイズを下げ続けない |
| カードからのはみ出し | 文字と枠線の間の余白は12ピクセル以上 | 内側の余白を足すか、カードを広げる |
画像を二セット用意すべきケース
| ケース | 判断基準 | 推奨される方法 |
|---|---|---|
| 用語が密集した工程フロー図 | 1枚の図に20以上の専門用語 | ビットマップを二セット用意し、二言語を理解する人が確認する |
| 複雑な多層インフォグラフィック | 図の中の階層が4層を超える | 複数のシンプルな図に分け、バイリンガルSVGで対応する |
| 3Dレンダリングの製品断面図 | 文字が曲面に沿って変形する | ビットマップを二セット用意し、言語ごとにレンダリングする |
| 印刷納品が必要な図 | 印刷物はSVGを受け付けない | ビットマップを二セット用意し、高解像度の元データを保持する |
| 顧客が指定する図版レイアウト | レイアウトは顧客側が固定する | ビットマップを二セット用意し、レイアウト変更を避ける |
判断の基準はシンプルです。図の中の情報が複雑で、人の目での確認が多く、サイト外へ配信するものであるほど、2セットの画像を作る方向になります。逆に、サイト内で使う構造図・フローカード・比較図はすべてバイリンガルSVGで統一し、保守コストを1桁下げます。納品段階の画像とファイルの要件は/site/のチェックリストで確認できます。信頼ページや資格情報の掲載では、図と文章の信頼性の書き方を/insight/09-trust-pages-ai-credibility-evidence/の記事で参照できます。既存の図表リストを/contact/に送って、言語ごとの一斉チェックを依頼することもできます。
FAQ よくある質問
最後に
図のローカライズはデザインの問題に見えて、実は構造の問題。ビットマップは文字をピクセルに固定してしまうため、言語を追加するたびに描き直しが必要になる。インラインSVGは文字を差し替え可能な位置に残すので、言語が増えてもコストはほとんど変わらない。両者の違いは今ではなく、3回目の改修時に現れる。
事前に決めておくべきことは2つだけ。この図が今後も変更されるかどうか、英語が中国語よりどれだけ長いか。前者が方式を決め、後者が余白を決める。どちらも着手前に答えが出る。公開後に気づいた場合、たいていは作り直しになる。
一言で覚えるなら、図の中の文字は差し替え可能な場所に残し、レイアウトの余白は英語が中国語より1.3〜1.5倍長くなる前提で確保する。
